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片岡鶴太郎とアンソニー・ホプキンス《映像はロックだ33》

池袋の三越はやたら婆ァ率が高い。もしかしたら100%婆ァしかいなかったかもしれない。
もちろん、そんな事はないのだがそのくらいの勢いだ。
その、婆ァ達の間を掻い潜って「片岡鶴太郎展」を見に行ったが、全体的に、普通という印象。

まず、絵の量が多すぎる。機械的に量産される絵の中に魂を動かすものは生まれるのだろうか?
実は5、6年前の鶴太郎の絵はいいなって思っていた。仕事の合間でも寝る間を惜しんで筆を握る姿にはシンパシーを感じた。
しかし、今の彼は祭り上げられちゃって、まるで裸の王様を見ているよう。
会場を後にしたら外には夥しい鶴太郎グッズの山。山。山。
ブックカバー、絵葉書、ハンカチ、風呂敷、小物入れ、ジグソーパズル、鯉のぼりまであった。そして、それに群がる、婆ァ。婆ァ。婆ァ。
こうなってくると金の匂いしかしない。絵、ひとつで儲けようとする資本主義国家の縮図が三越デパートの7F特設フロアにしっかりと渦巻いていた。


その後、アンソニー・ホプキンスの「世界最速のインディアン」を見に行った。
ポイントは二つ。
アンソニーの人情芝居と時速300Kmを映像でどう、表現されているか。

そして、見終わってみると、結局、その2点しかない映画でもあった。
アンソニーの演技は確かにいぶし銀で良かったけど、時速300Kmスピードの表現方法にはなんら目新しいものは無かった。20年前の角川映画の「汚れた英雄」ですでに使われている、ローアングルからの押しという手法は今でも、変わることなく、全く、進歩が感じられなかった。
映画の内容はもう、ダメダメ。単なるエピソードの羅列。その、エピソードがなんら交差することなく、映画の本質が糞みたいな脚本に殺されたパターンだ。
まず、アンソニー演じるバート・マンローに困難がない。少し、ピンチになっても次のカットじゃ解決。
最初のイラン系のタクシー運転手とのちょっとしたいざこざも立ちふさがるアメリカ国家という壁を予想させたが、結局、それだけで終わっちゃうし、あちこちに散らばった思わせぶりのカットも本当に意味が無い。
飛行場での空港職員とバートのカット。オカマのティナとファミレスのウェイトレスの目配せのカット。・・・・その後、何も進展なし。
極めつけはバートがニュージーランドの自宅に戻った時、留守を預かっていた隣の子供が鍵を開けるカットで、その鍵がアップになるんだけど、これは、この部屋の中に感動的な光景が待っているのかと思えば、それも無し。なんだそりゃ!
もうちょっと、事件を入れてもいいんじゃないの?「かもめ食堂」みたいなのんびりホンワカムービーじゃないいんだから。
夢を追うとか追わないってテーマは、つまりはその人のエゴが主体となるわけで、僕としてはウンザリするわけです。
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by ricayaa | 2007-03-19 11:12 | 映像はロックだ!


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