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104歳の婆ちゃん

内の家系は僕の母がアメリカに行った辺りから気持ちが離れ離れになり僕が生まれた頃には完全に音信普通になっていた。母と僕はあちこちをさ迷いながらなんとか生きてきた状態。
その中でもお婆ちゃんは実家と母の元を行き来しながら献身的に僕と母を支えてくれていたのだが、それでも母が亡くなると僕とお婆ちゃんの関係も次第に薄れていった。
もう、25年も前の話しだ。
そして、僕もいい年になった。
あの頃、突っぱねていた感情もすっかり消え、一言、お婆ちゃんにお礼を言いたいと思っていたが後の祭り。
既にお婆ちゃんの居所も分からなくなり、また、年齢的にももう死んでいるんだろうなぁという諦めのようなものもあった。

ところがだ。ひょんな所から僕のお婆ちゃんの居所が分かったのだ。
しかも、104歳、まだまだ元気だという。

僕は抑えていた感情が一気に湧き出した。

会いに行こう!

その気持ちを胸に朝一の新幹線に乗り東北へ。ある駅から今度は在来線に乗り換え、更に1日2本しか走らないバスの1本に乗りお婆ちゃんのいる老人ホームへ着いた。

覚えていてくれるだろうか!?いや、僕は一目あえるだけで十分なんだ。

そう自分自身に言い聞かせながら受付へ向かった。


話しは昨晩に遡る。
その情報を僕にくれた方から電話が入った。
実は・・・そう切り出すとその方はこう言い始めた。

お婆ちゃんには少々、ボケの症状がある。家族が行っても良く分からないときもあるし、ついこないだはホームで1,600万円盗まれたと大騒ぎして大変だった。だから、会いに行かないほうがいい・・・という内容だったが、僕は静かに、それでも行きますと答えた。


そして、お婆ちゃんと対面。
お婆ちゃんの口から出た言葉は

「リカヤ!」


お婆ちゃんは僕を分かってくれていた。
今、ここでお婆ちゃんと手を握り合いながら対面している時間に深い感謝をせずにはいられなかった。
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by ricayaa | 2010-07-06 10:34


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